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ポップカルチャーのブログ

The 60 best albums of 2012+1(前編)

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どうもこんばんは。新加勢大周です。


この新加勢大周に落ち着くまで、どれだけ多くの人が候補に挙がっては消えていったか?その筆舌に尽くしがたい苦悩を想像して頂きたいです。
さて、今さらながら2012年の年間ベストアルバムでございます。61枚選んでおります…。
ここから前説が始まりますが、基本的にどーでも良い話なので、早くランキングが読みたい方はすっ飛ばしてください。


前のブログでも2010年に50枚選んだことがあったけど、今回はそれを超える個人ブログとしては最大規模となった。
何でこんな多く選ぶのか?っていうと、理由は2つある。
1つは、「音楽を語る」という行為が閉鎖的になってきてることにちょっとだけ抵抗してみたかった。
洋楽・邦楽・ジャンルでそれぞれのトライブやクラスタが、各々の文法を使ってSNSの内部で音楽が語られてる状況に対して、自称・フラットにポップミュージックを聴いてる僕が61枚並べた時の”ぐちゃぐちゃ感”が、何らかのカウンターになるんじゃないかと(そうは言っても、まだまだ範囲が狭いと反省もしてる)。
こういう音楽の楽しみ方もあるよっていう提示になれば良いなぁと思っております。


もう1つは、高樹千佳子が50枚選んでるのを見た時、タレントが50枚も選んでるなら、素人の僕はそれを超えないダメだ!と勝手にライバル視をしてしまったから…。べつの高樹千佳子には何の思い入れもないんだけどね(失礼)。


という訳で、そろそろ本題に入ります。長いので前編・中編・後編・最終話の4回(!)に分けて更新予定です。えぇ、どーかしてます。
ちなみに選考基準は「2012年にリリーリされたオリジナルアルバム」であることです。ミニアルバムやベストアルバムや再発盤は含まれません。
あと、上半期ベストと順位が入れ替わったり、消えたりしてるケースもあるけど、改めて振り返った結果です。
それでは始めます。



【No.61】

アルバムリリースのニュースを見た時に「懐かしい名前だなぁ。まだ活動してるんだ」と思ったら、実に11年ぶりのアルバムとのこと。
知らない人も多そうだけど、Beachwood SparksはSub Pop所属のバンドで、アメリカにはオルタナティブカントリーとかカントリーロックっていう、カントリーミュージックをモダンにアップデートしたジャンルがある。この時点で読者の大半が興味無さそうなのが自分でも分かるから書いてて非常に苦しい…。


とにかくそういうジャンルがあって、その代表格が今やアメリカを代表するバンドとなったWilco。僕は彼らが好きだった流れでBeachwood Sparksも知って、前作も当時聴いてた。
んで、11年ぶりに再び彼らの音楽に触れた訳だけど、基本は変わってない。さらに地味になった気もするけど、カントリーをベースにしつつ、サイケデリックな浮遊感のあるサウンドと歌ごころに溢れた好盤となった。またアルバムを作るかは未定らしいけど、できれば次は10年以内に戻って来てください。




【No.60】

Rebel Soul

Rebel Soul

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00年ぐらいにラップメタルのブームに乗ってブレイクしたのに、ブームに陰りが見え始めるとアッサリ捨てて、カントリー色の強い曲へと転向。
Beachwood Sparksと同様、日本人には接点が持ちにくい音楽になってる点は否めない。
つーか、ぶっちゃけ今のキッド・ロックはアメリカ人以外を相手にするつもりはほぼ無いと思う。いや、それで良いのだ。洋楽を聴くとは、本来そういうこと(他国の文化にこっちから出向くこと)なのだから。


今回も相変わらずカントリーテイストが強いけど、かつてを少しだけ彷彿とさせるハードロック&ラップ調の曲もある。これが時代性とズレまくってて強烈にダサいんだけど、それが”可愛げ”になってるのがキッド・ロックの面白さ。やっぱ憎めない人だ。



アメリカ南部に住むアタマの悪いカウボーイみたい。全面的にダサい…。でも、それが良い!




【No.59】

再結成したBen Folds Fiveの13年ぶりの新作。さっきから11年ぶりとか13年ぶりという単語が飛び交ってる時点で、老害という言葉が頭をよぎるが、無視して進める。
ちなみに僕は、当時からアルバムは一通り聴いてたけど、凄く熱心なファンって訳ではないし、ベンのソロも最初の方だけ聴いて何となく地味だなぁぐらいに思ってた程度のファン。
あえてバンドに戻るからには、初期のはっちゃけたピアノ・ポップロックを誰もが期待する訳だけど、蓋を開けたら後期の渋い路線の延長だった…。
とは言え、M2のようなパーフェクトなパワーポップチューンが出てくるとひれ伏すしかない。この1曲の為だけでもアルバムを聴く価値がある!




パーフェクト!100点!



【No.58】
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上半期ベストでも紹介済み。グラミー賞まで取っちゃって、近年のパワーポップ業界では最大の成り上がり!
以前にも書いたけど、前進バンドのThe Formatから聴いてる自分としては、音楽性がパワーポップからかけ離れてしまったことに複雑な気持ちもある。
転向して売れたパワーポッパーと言えば、OK GOを思い出したりもした。あいつらも見事に裏切ってくれたよなぁ。僕はまだ許してない(管理人がどの立場から発言してるのか不明)。あと、Maroon 5もそうだな(以下、管理人のパワーポップ魔女狩りが続くが面白くないのでカット)。


YouTubeThe Formatの曲に対するコメントを読んでると「LOVE. I really miss The Format. Fun. is ok, but..sigh」と書いてる人がいて、32個もナイス!が付いてる。世界中に同志がいることを確認した…。
でも、こうして結果を出したことを今は素直に祝福したい。
あと、この場を借りて前のブログで「メンバー全員(特にVo.ネイトの)服がダサい」とかいじり倒してごめんなさい!




【No.57】
[asin:B008UQURM2:detail]
前作でメジャーに進出したと思ったら、再び古巣のHopeless Recordsへと帰還。前作は初期とはまるで違うティーンポップみたいな音楽性へと完全に去勢されてて震えた…。Simple Planの悪夢を思い出す。
じゃぁ、今作が再びインディーに戻って初期衝動を爆発させてるかっていうと、実はそうでもない。あくまで前作の延長にある。
だから、ウェルメイドなポップソングとして割り切れば、良くできたアルバム。あくまで初期のアルバム好きな人は今回も厳しいアルバムになると思う。
僕は今後の期待も込めて支持しておく。なんせ彼らはWheatusの”Teenage Dirtbag”をカバーしたような”分かってる”連中だから。




【No.56】

上半期ベストで紹介済み。ボウディーズが売れてるなら、シガベッツだってもっと売れても良いじゃないか。結局、なのか!?それがお前のやり方か!あれ?何で僕はボウディーズをDISってんだ…。



この動画に「Great song! sixties style! super Powerpop band!」ってコメント付けてる外人のおっさんがいて笑った。何でもパワーポップだと思いたくなる僕と同じ病気のようだ…。



【No.55】
[asin:B0071BY0LQ:detail]
スピリチュアライズドのアルバムを手にするのは、「宇宙遊泳」以来だから15年ぶり…。
久々に聴いたけど、サイケデリアの果てにたどり着いたゴスペルが鳴り響くスウィートなロックンロール。圧倒されちまった。
とにかくM2を爆音で聴いて欲しい。もはや宗教的体験とでも言いたくらい、神々しい瞬間が何度も訪れる。
しかし、ジェイソン・ピアースって47歳なんだ。あの歳でこんなイカレたロックンロールを鳴らしてるなんてカッコ良すぎる!



※これが僕が大絶賛したM2なんだけど、PVの内容が大変刺激的となってるので、苦手な人はご注意ください。



【No.54】
[asin:B008O5AC0Q:detail]
うーん、ZAZEN BOYZが54位かぁ。もうちょっと上位でも良いと思うんだけどなぁ(自分で決めたクセに)。
アルバム毎に違った景色を見せてくれた彼らが、今回は記号化されたZAZEN BOYZの音楽性をセルフパロディようにあえてやったというのが僕の見立て。
もっともっとその先にある”この世の果て”みたいな音を鳴らして欲しかった。僕を置いてきぼりにするくらいぶっ飛んだ音が欲しかった。それくらい期待値が大きい証拠でもあるけど、もう少し順位は上でも良かったと思ってる(自分で決めたクセに)。




【No.53】
[asin:B0063HP73Y:detail]
上半期ベストで紹介済み。例えばボウディーズを聴いてる人は、こういうバンドにも目を向けて欲しいと思ってるけど、それが難しいのも分かってる。
むしろ、なぜボウディーズだけが、あの音楽性で軽々とメジャーポップシーンに溶け込めたのだろう?やっぱりなんだろうか?




【No.52】
[asin:B006ON5J7G:detail]
上半期ベストで紹介済み。これ日本盤でリリースされてるんだけど、こんなの聴いてる人が日本に何人いるんだろう?そもそも商売として成り立ってるんだろうか?と心配になる。何かあれば僕に言って欲しい。できる限り協力したい(余計なお世話すぎる)。




【No.51】
[asin:B008NJNJPI:detail]
アマゾンで1件もレヴューが付いてない…。なんか誰も聴いてなさそうなアルバムばっかりで欝になってきた…。とかいう僕もAlternative Pressの年間ベストに入ってたのがきっかけで最近知ったバンド。
今作含めてまだアルバムは2枚しか出してないけど、03年結成だから芸歴は10年近くある。ポップパンクからキャリアをスタートして、現在はハードコアな音を鳴らしてる。これが文句なしにカッコ良い!ハードコアっていうと、アンチポップミュージック的な曲も多くて僕は苦手なケースも多いんだけど、出自がポップパンクだけにソングライティングがしっかりしてる。ハードコア入門の扉を叩くにも良いかも。




最低最悪なPV。グロ注意。わざと悪趣味なことやって、観る人を不愉快にして喜んでるダメな学生映画みたい。アカン警察を呼びたい。



【No.50】

THIS IS POP !!!

THIS IS POP !!!

Amazon
[asin:B009G4NL7K:detail]
1年に2枚もアルバムを出してしまったBOHEMIANS。「THIS IS POP !!!」は上半期ベストで紹介済み。2枚目の「BOHEMIANS FOR LIFE」もやってることは変わってない。「過去のロックンロールを参照しながら、あくまで現代のポップソングとして鳴らす」という狙いは徹底されてる。
文脈を意識した曲の作り方は洋楽的で、やっぱり僕はこういうバンドが好きなんだなぁと改めて思った。
まぁ、相変わらずビジュアルはどーかと思うけど…。



PVっていうのは言うまでもなくプロモーションの為に作るわけで、そのPVを「期間限定」とか押し付けがましく公開するフォーライフレコードに心底呆れる。
じゃぁ、期間が終わったらスパっとプロモーションを止めて、後は売りっぱなしにするつもりなの?
YouTubeにアップしとけば、こうやってブログに貼られたり、Twitterで言及されたり、リスナーからコミュニケーションが生まれる可能性が残るじゃん。コンテンツが飽和状態の今、そこは非常に大事なことだし、何よりもSNSによってコミュニケーションが消費に繋がる傾向がどんどん強くなってるのは自明でしょ?ネットで曲を無料公開したら売れなくなると思ってるなら、そんな妄想は老害でしかない。
フォーライフレコードよ、恥を知れ!(管理人のマジギレ)



【No.49】

そもそも南波志帆とは何なのか?僕は良く分かってない。言うまでもなく女性ソロシンガーなんだけど、微妙にアイドルっぽく見られてる感じもあって、立ち位置が曖昧。
透明感があって、自我があまり見えてこないからアイドルとも親和性が高いのは何となく分かる。


しかし、あの清純な見た目に騙されてはいけない。あの手の女の子は必ずチャラチャラした男と付き合うのだ。そして、誘えば最初のデートは来てくれるけど、2回目がどう頑張っても実現できない可能性が高い。そもそも女性とは〜(以下、管理人の実体験に基づいたルサンチマンが延々と続くが、痛すぎるし、音楽とはもはや何も関係ないのでカット)。
前作同様、木村カエラ方式で作家陣を集めまくって作られたアルバムだけど、あの声で歌えば全て南波志帆の曲になるから凄い。良質なポップアルバム。




このタイトルってフリッパーズギターの”バスルームで髪を切る100の方法”を意識してる?



【No.48】
[asin:B006QS9MVI:detail]
イスラエルのパンクバンドによる3年半ぶりの新作。音楽性は前作の延長で、哀愁メロディーはさらに磨きがかかってる。
だから、あくまで「No Vacation from the World」みたいな初期のキラキラしたポップパンクが好きな人は、この地味で渋い感じは好きになれないかも。All Time Lowと同じである時期から音楽性がガラリと変わったバンドの難しさも感じた。
僕はどっちかと言うと、初期の方が好き。ただ、この路線の説得力もかなり増してきてるので、今作については認めざるをえない。





【No.47】
[asin:B006P0BZLW:detail]
上半期ベストで紹介済み。女子流が47位はねーだろ!と僕も思うんだけど、前作は超えてないと正直に思ってしまったのと、やはりアイドルポップとして「この1曲!」という一撃が欲しかった。結果、この順位に落ち着いてしまった。
もっとも彼女たちのポテンシャルは何ら問題どころか、むしろ武道館公演も成功させて次のフェーズに向かってる訳で、今後も楽しみなのは言うまでもない。




【No.46】
[asin:B008RYN5RG:detail]
前作から11年ぶりの新作。また出たよ、「11年ぶり」という単語。ってことは、今10代とか20代前半の人はNO DOUBTを知らない可能性もあるんだ。ちょっと目まいがしてきた…。バンドが止まってる間にヴォーカルのグウェン・ステファニーはソロでも成功したけど、これが結果的に女性のポップアイコンとしてレディー・ガガが登場する下地を作ったのは間違いない(その前にマドンナがいるけどね)。


今作もルーツであるレゲエやスカの影響を散りばめながら、大文字のポップミュージックとして機能させる力量は健在。にしても、グウェンちゃんが43歳なのがシンジラレナーイ!(死語)
余談だけど、きゃりーぱみゅぱみゅより早く日本の原宿カルチャーを世界に発信した親日家のグウェンちゃんは、2011年に東日本大震災への支援として8,000万円の寄付をしている。来日したら絶対にライヴへ行くつもり。





という訳で、本日はここまで。少しでも気になった曲があったら、YouTubeで聴いてみて欲しいっす。ポップミュージックを楽しむ上で、偶発的な出会いって重要だと思ってるので。
次回の「中編」は45位からの発表です。