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Ivy Ivy Ivy

ポップカルチャーのブログ

第2回 アイドル横丁祭!!とテン年代のグループアイドルの作り方

アイドル 音楽

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という訳で、時間が経ちすぎだけど「第2回アイドル横丁祭」(4/8)について。
1回目が大成功を収めたのに、なぜか会場は渋谷公会堂から渋谷AXへとスケールダウン。このメンツでAXは無理に決まってる訳で、フロアはすし詰め状態。あわや将棋倒しになりそうな瞬間もあった…(一部で乱闘もあったらしい)。
今回は「生バンドスペシャル」ということで、スパガ、ドロシー、℃-uteは生演奏で歌ったんだけど、テープに手堅すぎる演奏をかぶせてるだけ。ぶっちゃけ、生演奏の意味をほとんど感じなかった…。ちなみに全体を通しては大変楽しいイベントだった。


各グループを140字以内で振り返る

  • アップアップガールズ(仮)

ハロプロだけど、変名ユニットUFZSでK-POPのダンスカバーをやってて、この「全く違う文脈が交錯してる」点に注目してた。ただ、アップアップ〜としてはあくまでハロプロ文脈だけで押し切るつもりらしく、そうなると抜きん出る武器が無い。K-POPへの批評・解釈を混ぜるべきかと。


  • Cheeky Parade

スパガと同じiDOL Streetの新ユニット。派手なパーカーに象徴されるニューレイヴ(死語)みたいなファッションで登場した時は高まったけど、曲がふつーすぎて萎えた…。アイドルは、”歌・ダンス・衣装”が総合的に設計されてないといけないし、差別化が目的化してもいけないと心に刻んだ。


脳みそが溶けそう。高速BPMで細かくリズムを刻みながら、アニメ声でフックを繰り返す戦法にまんまと殺られた…。オザケンの”強い気持ち・強い愛”のカバーもフリーダム過ぎ!客がポカン状態だった感じもするが、僕は楽しかった。あと、夢眠ねむが思ってたより大きくてビックリ!(170cm)


  • BABY METAL

「アイドル戦国時代」が生んだ極北的な存在。歌は口パクだし、演奏のドクロ隊(コーネリアス以来!)も当て振りなんだけど、ライヴだと爆音のカタルシスがあって、興冷めすることも無く成立してる。確かに面白い。でも、現状のサブカル的な遠心力を、どうやって世間にまで拡散させるのか?は気になる。


  • Dorothy Little Happy

う〜ん、前半からアッパーな曲中心で”生バンド”というコンセプトを意識しすぎかな?と。静と動のコントラストで客をわしづかみにできるドロシーのスケール感が半減してて惜しい。決して悪かった訳じゃないけど、こんなもんじゃねーよ!と思いながら観てた。アイドル界のU2だと思ってるんで。


  • SUPER☆GiRLS

覚醒してた!というか、昨年からシングル曲の質が上がってるのと、定期的にライヴハウス中心に活動を続けてきたことが全て結実してる感じ。ブレずに王道を貫いて、正面突破でAKBを倒そうとしてる所は好感が持てる。このまま行けば、ある程度までは大きくなると思う。


℃-ute

℃-uteだけ140字を無視する。
遂に戦国時代に参戦した℃-uteがどれだけやれるのか?が今回の僕のテーマだった。ハロプロ内でも屈指の実力を誇ると言われる℃-ute。事務所のプライドが今回「スペシャルアクト」という位置付けになったんだろうし、ハロプロ開国という流れで彼女たちがスマイレージの次に送り込まれたのは当然の結論。
しかし、長く鎖国された圏内での実力が外部でも通用するのか?という不安もあった。もしも ℃-uteが負けるとしたら、その相手はドロシーだけだと思ってた。
だから、ドロシーがあまりにも素晴らしいアクトを見せてしまったら、僕はステージに乱入して、この「横丁祭り」というイベントをノーコンテストに持ち込むつもりだった。


1曲目は”Danceでバコーン!”。この選曲だけ見ると、いきなり全開でぶっ飛ばすイメージを受けたかもしれないけど、℃-uteはベテランらしく自然体な入りだった。まるで初参戦となったインディーのマットの感触を確かめるような入り方(他のアイドルに失礼)。
しかし、次第にセットリストがグレイテストヒッツな神選曲であることが徐々に明らかになると同時に、彼女たちのパフォーマンスも熱を帯びていった。
本人たちも気合入ってるみたいなことも言ってたけど、必死さやガムシャラさとは違った。特別なことは何一つやってない。ただ、安定した歌唱力、表情、ダンスのシンクロ率と言ったアイドルとしての”ベーシックな要素”を徹底的に高い次元で見せただけ。でも、それができるアイドルが他にどれほどいるだろうか?


結成7年、芸歴10年の”重み”が示した説得力。「お前の10年間を放り込んでこい」(By Hi-Hi)じゃないけど、実際に放り込んでみたら格が違った。集大成的なセットリストに加えて、”君は自転車 私は電車で帰宅”では超絶アカペラを披露。ここまでやるとエグい…。
結成3年以下のヤングライオンたちに負ける訳がない(他のアイドルに失礼)。


しかしである。確かにステージの上では圧勝したけど、新曲のセールスではスパガと激しいデッドヒートを繰り広げて何とか勝った状況で、AKBの背中すら見えていない。
実力はあるのになぜ売れないのか?ハロヲタは「AKBと違ってメディアに出れないから」と決まって言うけど、そこは本質ではない。
「今の日本のアイドルに求められる要件を満たせてない」からである。


例えば、ステージ上で圧倒的な存在感を示した一方で、「フレッシュさを欠いてる」という声も聞かれた。
そう、「成長過程を応援する」という日本のアイドル文脈から℃-uteは逸脱しかかっている。それは後日単独コンサートを観た時にも感じた。
もともとハロプロ内であまり推されてるとは言えなかった彼女たちは、だからこそ、内部の団結とパフォーマンス力を高めて評価を上げてきたグループだ。その意味で既に完成されているグループであり、それ故にステージ上では無双状態を見せつけながら、その高い完成度が弱点にもなっている。何というアイロニー…。
要するに℃-uteは「見たままが全て」であって、裏側のコンテクスト(文脈)がほとんど存在しない=ローコンテクストになってしまっている。


AKBとももクロの強みとは?

℃-uteと真逆なのがAKBだ。良く言われるように超ハイコンテクスト。結成から6年経ってもファンが「成長過程」を応援してることに加えて、例えばメンバーの役割・関係性がファンにコンテクストとして織り込まれている。だから”たかみな”がどれだけ重要な存在かをファンなら熱く語ることができるし、Google+での活動を受けて、コンサートのタイトルが「業務連絡。頼むぞ、片山部長!」に決定したりする。そして、コンサートでは「いつサプライズがあるんだ!?」とトガちゃんの登場に戦々恐々として、最終的には秋元康の暴君っぷりすらも貪欲に楽しんでしまう。
つまり、ステージで歌って踊ってるAKBの”裏側”に大量の文脈が流れている。だから、楽曲には一切興味が無いけど、AKBを面白がる人も相当いる(僕もそれに近い)。「見たままが全て」ではなく、むしろ「見えてないところを理解してこそ面白い」のだ。
【参考資料】ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化


ももクロもやはりハイコンテクストだ。AKBは6年の歴史と支店(SKE、NMB、HKT)や派生ユニットまで含めた総勢280名を超えるメンバーの多さ、さらに裏側まで全部見せる戦略が強みとなり、大量のコンテクストがデータベースのように蓄積されてる。後発のグループがその差を埋めるのは容易ではないというか、軽く絶望する…。
そこでももクロはお笑いやプロレスという外部のカルチャーからの引用で濃密なコンテクストを形成することに成功した。サブカル村から続々と人が流れて来てるのはご存知の通り。武藤敬司や在日ファンクぐらいは知ってないとコンサートも全力で楽しめない。スノッブすれすれではあるけど、あくまでサブカルは発火点で、そこから大衆へと導線を作る段階に今は来てるのかなと思う。
重要なのはAKBとももクロを見てると”分かってる人”は「語りたくなる」こと。だから「拡散」する。


テン年代のグループアイドルの作り方

まずは「成長過程を応援する」という図式を骨太の”物語”(ビルドゥングスロマン)として設定する。ももクロみたいにコンサートの箱をどんどん大きくして勝負に出ていくのが分かりやすい。
この物語を縦軸にして、様々な「語りたくなる」コンテクストを周辺に張り巡らせる。それは運営側の仕掛けもそうだし、メンバー発の例えばSNSを使わせてダダ漏れさせるのもそう。
とにかく情報を大量にフィードさせ続ければ、新規ファンを取り込むフックになり得るし、既存ファンは情報をシェアすればするほど、勝手にコンテクストを積み上げてさらにハマっていく(AKB48まとめんばーとか見てる人は分かると思う)。そして、2ちゃんねるやブログやSNSで拡散していく。


常に「面白い情報」を発信できる、つまりアイドルのメディア化を目指すべきなのだ。その情報発信力がファンとのエンゲージメントに繋がる。これがテン年代アイドルの作り方だ!
なんか自分がインチキセミナーの講師みたいに思えてきた…(※実際インチキです)。
でも、例えばアイドリング!!!が最近売上を伸ばしてる一方で、評価は激しく高い東京女子流の売上が伸び悩んでるのも、このロジックで一定の説明が付くと思う。
あと、スパガやぱすぽ☆はコアなファンを囲い込んで、運営に参加できる機会を設けてる。ファンが成長過程に関与していきながら、みんなで育てていく”ソーシャルゲーム”みたいな設計がされてるのは興味深い。


再び℃-ute

という訳で、既に完成されてて今がまさに絶頂期で、情報量が少なくてローコンテクストだから℃-uteは苦戦してるのである…。
しかし、だから何だと言うのだ。℃-uteが魅力的なグループであるという「真実」(上杉隆ふう)に何ら変わりない。コンテクストだのエンゲージメントだのうるせー!そんなもんどーでも良い!
前のブログでも言ったけど、そもそもアイドルについて「カワイイ」を回避して語るのは、サブカル的な偽善を感じて気持ち悪い。そう、Perfumeを語る時に「アイドルの枠を超えてる」ことをやたら強調して予防線を張ったり、終いには「Perfumeの歌詞には死の匂いがする」とか超絶痛いことをブログに書いちゃうヤツね。
よって、鈴木愛理矢島舞美はキュートすぎる!と叫んで、本稿を終了とする。


<セットリスト>
1.Danceでバコーン!
2.Kiss me 愛してる
3.大きな愛でもてなして
4.まっさらブルージンズ
5.都会っ子 純情
6.君は自転車 私は電車で帰宅
7.世界一HAPPYな女の子
8.JUMP



1曲目だから凄い盛り上がりだった。


【参考資料】
ニコニコ超会議」の映像もアップされてたので紹介しておく。これも凄かった。

岡井ちゃんのコンディションが危なかっしいけど、気にしてはいけない。